映像について
映像は他の芸術の媒体の中でも、抜きに出て技術的進歩に依存している。映像の技術は日々高速で進歩しており、解像度はうなぎ上りで、記録方式についても私の短い人生の中でさえ何度も更新されている。それは同時に、過去の映像作品達が高速で風化していっているということでもある。そのような風力のある中で映像作品を作るのであれば、その作品が映像という媒体の本質をとらえている必要がある。それができれば10年後に解像度が100万Kになっても、作品の質がその技術的なギャップに阻まれないはずだからだ。
私が一部の作品に於いて、映像のシステムを用いない形で映像作品を制作している理由は、映像の要素を削いでゆくことにより、消去法的に映像の中心に迫ろうとしているためである。