川とその他の流れ

カーテン, レンズ, フィルム, 空き家に放置されていたTV, スピーカー, 他 2015

中之条、四万にある、元民家の空き家にて展示。
回転するカーテンの中心に設置された、光源、フィルムやレンズによる装置により、部屋の数カ所に花の像を投影。像はカーテンの開口部が投影部分に差し掛かると明らかになる。室内に響く川の音のような轟音は、奥の部屋に設置されたTVのノイズである。

この辺りは湿気が多く、冬には雪の重みもあるので、人の住まなくなった家はすぐにだめになるそうだ。まるでそこだけ時間が速く過ぎているようである。対照的に、隣を流れる四万川は、まるで時間が止まったようにいつの時代も同じ様子でいる。そのような時間の歪みが四万には横たわっている。

この四万民家は、そこまで古い時代の建物ではない。だから内部を見渡せば、たやすく新築の時代を想像することができる。そしてその時の、未来の方へ向いた家族の気配も感じ取れる。

私は、かき消える鮮やかな花と、流れていく影やTVのホワイトノイズによって、この家の在りし日の姿と、隣で静止しているかのような四万川を、今のこの空き家上に収束させることを試みた。