個展 Floating Island

個展 Floating Island

2011.9.12 – 9.17 MUSÉE F

初の個展。プロジェクターで窓を投影するインスタレーションを展示。

配布物掲載文

楽しい時間はすぐ過ぎるというが、その時間が楽しかったという記憶はいつまでも消えることはない。記憶は過去になったとき独立した時間となり、永遠に心の中で流れ続ける。人はときにそれをカセットテープのように取り出して、その時間の中に自己を投影していく。それを回想という。今回映像の投影を用いて空間に作り出すのは、ある旅行の回想である。

人が旅行をするのは、日ごろ抱えている忌々しい現実から解放されるためだ。しかしその肝心の旅行さえも、スケジュールやプランに蝕まれ、新たな苦悩の種となる。そのため、人は旅行中車窓を眺める。窓の外は目的地の方向に対し直角横に開かれており、当人の人生と真に関係ない世界である。人はその行けもしない地平線の向こうに行きたくて、旅に出る。